5.自分が本当にやりたいことがわかるまで

5. 自分が本当にやりたいことがわかるまで

— ちょうど30代でいろいろ考える時期でもあったんですね。

岩松:そうですね、30代の半ばでしたね。

         このままリクルートの営業マネージャーでいて本当にいいのかな?

         と考えることもあったので、リクルートの後輩で、

         当時すでに独立して人材紹介会社をやっていた

         クライスアンドカンパニーの丸山貴宏さんのところ

         に遊びにいったんです。

         ちょっとだけ、そんな話題になったとき

         「岩松さん、転職するとして、何がやりたいんですか?」

         って聞かれて、

         「最近、マーケティングに興味がある」

         という話をしたんです。そしたら

         「マーケティングだと、もっと世の中に出来る人が

         たくさんいますから、岩松さんがやりたいって言っても、

         高い値段で売れないですよ」と言われました(笑)。

         「それに、くよくよ悩んでるときに転職しても、

         良いことは無いですよ」って。

         「まぁ、そうかもな。じゃあ、今のまま頑張ってみるか・・・」

         ぐらいに思いなおして、

         「目の前の仕事にちゃんと向き合おう」と思って、

         腹を括ったんです。

         

— リクルートでやっていこうって?

岩松:そう。

         その後は、関連会社に出向して営業マネージャーをやったり、

         4社統合後の新会社設立の仕事にも携わりました。

         新会社では、事業企画のマネージャーを

         担当させてもらったのですが、

         これがまた自分にとってのキャリアの節目でしたね。

         なぜ節目だったかと言うと、

         事業企画の仕事のひとつに、人事の仕事が含まれていたんです。

         新たな会社の人事評価制度を作る、

         中途採用をする、若手やマネージャーの育成体系を作る、

         もちろん人材配置の議論もする。

         あらためて、人事の仕事に触れる機会を持つことになったんです。

         そしたら「やっぱり、人事の仕事は面白いし、自分に合っているな」

         って、そこで思ったんですね。

         そんなタイミングで、以前ちょっと相談していた

         後輩の丸山さんから連絡がはいったんです。

         「岩松さん、元気に頑張ってるみたいじゃないですか?

         そろそろ転職することを視野に入れたらどうですか?

         会わせたい社長がいるんですけど。」って。

         

— すごいタイミングですね。

岩松:そうですね。

         「やっぱり人事の仕事を久しぶりにやってみて面白いと気付いた。

         採用とか人事周りをやるのが好きなんだ」っていう想いのときに、

         人事部長を探している社長を紹介してもらった。

         これも縁ですね。

         当時120名くらいの規模のシステム会社でした。

         上場が1年半後に控えていたので、ベンチャーっぽい勢いがあって、

         自分が入社した頃のリクルートに似てるかなと感じて、

         転職を決意したんです。

         

— 本当にタイミングがすごいですね、見てたみたい。

岩松:見てたかどうかは知らないけど、

         38歳の頃なので、次を考えやすいタイミングだろうと思って、

         声をかけてくれたんでしょうね。

         転職して何が大変だったかというと、周りは全員中途入社なので、

         育ってきた環境が違うから価値観が違うこと。

         それに、営業に初めて出た時と同じで、

         自分が出来ないことをやっている部下もいる訳です。

         例えば、給与計算とか契約書とか、IPOの書類作りとか。

         そこをどうやって関係作りをしていくのかが最初の難題でした。

         

— ところで、人事の方って、業種のこだわりはあまりないんですか?

岩松:ないんじゃないですかね。

         自分の価値が発揮できるかどうかで、

         業種や外資内資などにこだわる人はいると思いますけど。

         私は元々理系で、

         研究室でプログラミングをしていたことがあるので、

         IT系企業ということに抵抗は無かったですね。

         この会社には、約3年いました。

         ここで色々わかったこともあります。

         一口にベンチャーといっても、文化や社風は様々なんだと。

         経営者がトップダウン型の会社って、こんな感じなんだなとか、

         ときに清濁合わせ飲まないといけないとか。

         中途採用中心の人員構成なので、

         価値観やモチベーションの在り方が多様で、

         もろもろの調整業務も意外に大変なことが多かったですね。

         それに結構忙しくて、土日も仕事していました。

         特に、経営者から日曜日の夜にいつもメールが来るもので、

         月曜日までに対応しないと、その週の仕事に取りかかれない。

         めちゃくちゃ仕事していましたね。

         ここでは実務もたくさんやりました。

         そしてもうひとつ、その3年間でわかったことがあるんです。

         それは、「人事をやりたかった訳ではない」ということ。

         「採用と教育だけをやりたい」だって気付いたんです。

         

— さらにもっと特化した形でやりたいことが見えてきた?

岩松:そうですね。

         転職を考えた時に自分でキャリアは決めたつもりだったんですけど、

         3年経った時点でもう一段絞り込みをした感じですかね。

         そんな気がします。

         労務とか制度設計とかもしましたけど、

         これは本当にやりたいことではないみたいな感じですね。

         それで、この時に再度転職するかどうか考えました。

         「もっと採用育成中心で担当できる会社はないかな」って。

         でも、その時の年収で雇ってくれるところが

         あるだろうかって考えて、独立を視野に入れはじめました。

         それに、実は1社だけ面接に行ったんですけど、

         毎日のように中途面接をしていた自分が、

         なんで面接をされているんだろう?と不思議な気持ちになって、

         もっと言えば、面接を受けている自分に腹が立ってきて(笑)。

         それでまた、例の丸山さんに

         「ちょっと独立を考えてるんだけど」と相談したところ、

         「いいじゃないですか!」って言われました。

         「やりたいと思った時がやり時ですよ。

         もし独立が失敗しても、世の中、どんな仕事でもありますから」って

         背中を押してもらったんです。

         そういう意味で、彼は、僕のキャリア・トランジションの時期に

         必ず登場してくれているんですよ。

         

— なにか話をしてみようかなって思わせるんですか?

岩松:そうですね。

         ちなみに丸山さんは、

         のちにNPOインディペンデント・コントラクター協会を

         立ち上げた時の理事のひとりでもあるんですけどね。

         そうやって独立相談をした結果、

         「よし、採用育成の仕事でがんばっていこう」って決めたんです。

         

         

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岩松祥典さん プロフィール

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